1982年、東京都生まれ。 ロシア文学研究者。 ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業。 著書に『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス/紫式部文学賞)、『文化の脱走兵』(講談社/読売文学賞)、『ロシア文学の教室』(文藝春秋)、『ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ』(創元社)、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷/東京大学而立賞、サントリー学芸賞)など。 訳書にサーシャ・フィリペンコ『赤い十字』『理不尽ゲーム』(集英社)、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(新潮社)、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち』(岩波書店)など。
分断なる言葉は一体いつ登場したのだろう。
一体いつから、国家指導者が平然と噓をつき、分断を煽るようになったのだろう。
誹謗中傷なる言葉を、一体いつからこれほど目にするようになったのか──。
このような状況にあっても、奈倉有里氏は言葉への信頼をあきらめません。
言葉は人と人を、人と社会をつなぐことができるというその強い信念は、どの著書からも熱く感じ取ることができます。
それは、文学作品にじっと耳を傾け、その言葉の力をあますところなく汲み尽くし、希望の光を見出そうとする決意の表れです。
平和とも安定とも、正気ともほど遠い現下の世界に対し、言葉と文学への信頼だけを携えて抗い続ける氏の勇敢さを心から讃えたい。
そして、私たちをつなぐちいさな言葉を紡ぎ続ける氏の表現活動のさらなる拡がりと展開を期待し、当賞を贈ります。 >詳細へ
「国でいちばんの脱走兵」になった100年前のロシアの詩人、ゲーム内チャットで心通わせる戦火のなかの人々、悪い人間たちを化かす狸のような祖父母たち──あたたかい記憶と非暴力への希求を、文学がつないでゆく。 本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を! 言葉を愛する仲間たちに贈る、待望のエッセイ集。
講談社◆定価1,600円(本体価格)
2024年7月刊
「この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とは何かを考えます」── 山を思わせる初老の教授が、学生たちをいっぷう変わった「体験型」の授業へといざなう。 取り上げられるのは、ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』、ドストエフスキー『白夜』、トルストイ『復活』など才能が花開いた19世紀のロシア文学だ。 この戦争の時代を考えるよすがをロシア文学者・翻訳者の著者が真摯に描く、青春小説にして異色のロシア文学入門!
文藝春秋(文春新書)◆定価1,450円(本体価格)
2024年5月刊
ロシア文学の研究者であり翻訳者である著者が、自身の留学体験や文芸翻訳の実例をふまえながら、他言語に身をゆだねる魅力や迷いや醍醐味について語り届ける。 「異文化」の概念を解きほぐしながら、読書体験という魔法を翻訳することの奥深さを、読者と一緒に“クエスト方式”で考える。 読書の溢れんばかりの喜びに満ちた一冊。
創元社◆定価1,400円(本体価格)
2023年6月刊
神秘的な世紀末から革命の大火まで、ときに麗しの貴婦人の騎士、ときに人生を燃やす狂気の人、ときに混沌と死の体現者として、激動のロシア社会を歌った詩人ブローク(1880-1921)。 そこには童心を胸にあらゆる枠組みをはねのけ無効化しようとする闘いと、思想や倫理を超えた「火の詩情」を希求しつづける夢があった──。 折々の詩を交えつつブロークの生涯を最新の伝記研究に基づいて描き出すとともに、同時代の批評との関係も踏まえながらその詩学の核心に迫る本格的評伝。 東京大学而立賞、サントリー学芸賞受賞。
未知谷◆定価4,500円(本体価格)
2021年11月刊
「分断する」言葉ではなく、「つなぐ」言葉を求めて──。 高校卒業後、単身ロシアに渡り、日本人として初めてロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業した筆者が、テロ・貧富・宗教により分断が進み、状況が激変していくロシアのリアルを活写する。 紫式部文学賞受賞。
イースト・プレス◆定価1,800円(本体価格)
2021年10月刊