1960年(昭和35年)8月21日午後9時5分、東京の一隅に生を得る。 1983年(昭和58年)3月、慶應義塾大学文学部哲学科倫理学専攻を卒業。 文筆家と自称する。池田某とも。
専門用語による「哲学」から哲学を解放する一方で、驚き、そして知りたいと欲してただひたすら考える、その無私の精神の軌跡をできるだけ正確に表わすこと──すなわち、考えるとはどういうことであるかを、そこに現われてくる果てしない自由の味わいとともに、日常の言葉で美しく語る「哲学エッセイ」を確立し、多くの読者を得る。とくに若い人々に、思い込みを捨てて本質を考えることの面白さと形而上の切実さを、存在の謎としての生死の大切を、語り続ける。
新宿御苑と神宮外苑の四季風景を執筆の伴とし、富士山麓の季節の巡りの中に憩いを得て遊ぶ。山を好み、先哲とコリー犬、そして美酒佳肴を生涯の友とする。
2007年(平成19年)2月23日午後9時30分、大風の止まない東京に、癌により没す(46年6ヶ月)。 著作多数。さいごまで原稿用紙とボールペンを手放すことなし。いながらにして宇宙旅行。出発にあたり、自らたって銘を記す。 「さて死んだのは誰なのか」
その業績と意思を記念し、精神のリレーに捧ぐ「わたくし、つまりNobody賞」が創設された。
2019年(平成31年)2月23日、自らが記した墓碑銘を刻む墓が、東京・青山墓地の一画にでき上がり、納骨された。
注記) 絵本作家の池田あきこ氏、アニメーターの池田晶子(しょうこ)氏、女優・モデルの池田晶子(昌子、しょうこ)氏の各氏は、文筆家・池田晶子とは別人です。
この風変わりな賞の創設と名前は、2007年春にこの世を去った、文筆家・池田晶子とその一作品名「わたくし、つまりNobody」に由来します。
彼女は、いつも次のような考え方を示唆しています。
考えているその時の精神は、誰のものでもなくNobody。
言葉は誰のものでもないけれども、それが表現されるためには、誰かの肉体を借りるしかない、そうして現われてくる言葉こそが、人の心を捉え、伝わってゆく……。
大事なのは「誰が」ではなく、誰かによって発せられた「言葉」が、次の時代の人々に引き受けられて、我々の「精神のリレー」が連綿と続いてゆくことである、と。
この賞は、自身もそのように仕事を続けたひとりの文筆家の発想に始まっています。ひたすら考え、それを言葉で表わし、新たな表現形式を獲得しようとする次代の言葉の担い手に向けて、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を、ここに創設します。
言葉の不思議、存在への驚き──。
エッセイを読む楽しみを中高生から味わえるよう編み直した珠玉のアンソロジー。
著者が確立した「哲学エッセイ」から、選りすぐりの17篇(各全文)を収録。
やさしい言葉で、哲学が日常の中の永遠の問いであることを語った池田晶子、
彼女を知る最適な一冊であるとともに、エッセイを読むよろこびを満喫できる本。
筑摩書房(ちくまQブックス)◆定価1,100円(本体価格)
2022年6月刊
どんな時代にも強く生きるためのヒント!
人生を変える、ゆるぎない言葉がここにある──。
2015年に編纂された『幸福に死ぬための哲学 池田晶子の言葉』に続くアンソロジーの第2集。
前集が理念的な言葉の抜粋をめざしたのに対して、本集では、より実践的な文章が集められている。
政治や社会など現実の事象に向けた著者の眼差しが実感できるユニークな「言葉集」。
講談社◆定価1,000円(本体価格)
2017年5月刊
なぜ、かくも犬とお酒は愛おしいのか!
著者がこよなく愛し、思索の友としていたコリー犬のダンディーとお酒。
その犬と酒をめぐるエッセイを全著作のなかから選び出し、一冊にまとめた傑作アンソロジー。
池田晶子が語れば、犬と酒の向こうに世界はこのように見えてくる。
多数の未公開写真とともに未発表作品一篇(短歌)も収載。
池田晶子の新たな魅力を発見する一冊。
毎日新聞出版◆定価1,600円(本体価格)
2015年8月刊
人生を変える、ゆるぎない言葉がここにある──。
池田晶子の作品の世界から、人生、幸福、愛と孤独、善悪、死、など11のテーマを抽出し、テーマごとに著者の文章の精髄を集めた、詩集のようなアンソロジー。
池田晶子の言葉のエッセンスが詰まった一冊。
講談社◆定価1,000円(本体価格)
2015年2月刊
「われわれは、認識する以外はできない種族なのだから、腹を括って、存在することを笑いましょう」──時代が移り変わっても、考える人は揺るがない。
考えることは、どんな困難も越えてゆく。
第一集の刊行から十数年、いまも読み継がれる哲学エッセイ「考える日々」全三冊をここに集成。
著者が「哲学エッセイ」の世界を確立した三年間の全貌を、未公開の日常写真とともにこの一冊に凝縮。
池田晶子と過ごす1000日!
毎日新聞出版◆定価2,700円(本体価格)
2014年11月刊
毎日新聞出版◆定価1,600円(本体価格)
2000年12月刊
毎日新聞出版◆定価1,600円(本体価格)
1999年12月刊
毎日新聞出版◆定価1,600円(本体価格)
1998年12月刊
小林秀雄への尽きぬ想いとともに、考える人々を生き生きと読み解く人物批評集。
後年の「魂」の発見に至る先駆けとして、著者は人物と思考の「個別性」に着目する。
若き池田晶子の、溌剌とした文体の魅力が感じられる初期の名著を、新編集で復刻!
毎日新聞出版◆定価1,500円(本体価格)
2014年11月刊
文庫版 文春文庫
2005年2月刊
絶版。
毎日新聞出版より新編集にて復刊。
単行本 文藝春秋
1996年11月刊
絶版。
毎日新聞出版より新編集にて復刊。
あなたは、まだ知らないのか?
生きて「いる」ということの真実を──。
大人のための哲学を語る、魂の一冊。
旧著に未収録の一篇を加え再構成した増補新版。
著者の思索のエッセンス。
毎日新聞出版◆定価952円(本体価格)
2010年11月刊
情報センター出版局
1998年3月刊
絶版。
毎日新聞出版にて増補・復刊。
著者の仕事の独創は“対話篇”の再創造だ。
名著『帰ってきたソクラテス』に始まるシリーズ(下記)の全貌が、ついにこの完全版で明らかに。
文庫本三冊のほか、創作した対話篇作品のすべてを網羅し、生前の著者の意図に沿って一冊に再構成。
巻末に、池田晶子・選「大人のための哲学書案内」も併録。
帰ってきた池田晶子──史上最強の対話術!
新潮社◆定価2,800円(本体価格)
2010年1月刊
単行本 新潮社
1997年12月刊
文庫版 新潮文庫
2004年4月刊
新潮社『無敵のソクラテス』に合本。
単行本 新潮社
1996年4月刊
文庫版 『ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け』に改題 新潮文庫
2002年9月刊
新潮社『無敵のソクラテス』に合本。
単行本 新潮社
1994年10月刊
文庫版 新潮文庫
2002年4月刊
新潮社『無敵のソクラテス』に合本。
私が消えれば、世界が見える。
私を考え、私を突き抜け、普遍に至る──池田晶子、思索の原点がここにある。
「誰でもない私」の視点で世界を見れば、すべての本質が見えてくる。
少女期の創作「空を飛べたら」一篇を併録。
講談社◆定価1,500円(本体価格)
2009年4月刊
どこまで考えても、死は言葉だと知るだけだ。
人生が存在するのは「死」という謎があるからだ。
生と死と──。
謎を味わい問い続けてゆく、終わりのない精神の物語。
果たされなかった講演「死とは何か──現象と論理のはざまで」の草稿をはじめ、自筆原稿作品も収載。
毎日新聞出版◆定価1,500円(本体価格)
2009年4月刊
その人は、なぜその人なのか?
「魂」と名付けた不思議な気配を、哲学が辿りついた感じる文体で語りだす。
旧著『魂を考える』を改訂した増補新版。
著者の独創! ふたたび、魂を考える。
トランスビュー◆定価1,500円(本体価格)
2009年2月刊
法蔵館
1999年4月刊
絶版。
トランスビュー『魂とは何か』に再編集して復刊。
ここに人類の死の精神史が描かれた!
古今東西、死を問い続ける思索者たちの言葉を味わい尽くし、意表を突く人生相談で人生の妙味を語る。
池田節が炸裂する驚異の未発表作品。
毎日新聞出版◆定価1,500円(本体価格)
2008年11月刊
存在そのものに迫る、謎の思索日記。
ひそかに再開されていた亡くなる前一ヵ月分の新稿を付し、旧著を忠実に復刻し、校訂した増補新版。
池田晶子、思索の原形の言葉たち。
トランスビュー◆定価1,800円(本体価格)
2007年7月刊
双葉社
2001年2月刊
絶版。
トランスビューにて改題、増補・復刊。
めぐる季節の中で、暮らしの中で、問い続けた存在の謎。
人生という不可解な旅を生きるすべての人へ。
精神の歳時記──哲学と文芸が融合した新境地。
『サンデー毎日』2006年4月16日号〜2007年3月4日号に死の直前まで書き続けられた文章。
著者、最後の一年間の息づかい。
毎日新聞出版◆定価1,333円(本体価格)
2007年6月刊
「平和な時でも人は死ぬ」「信じなくても救われる」「この世に死んだ人はいない」。
生きる意味を問い直す、週刊新潮連載、大人のための痛快哲学エッセイ。
『週刊新潮』2003年5月1日号より、死の直前まで書き続けられた連載エッセイの単行本化。
最終巻に、自ら記した「墓碑銘」を収載。
新潮社◆定価1,200円(本体価格)
2007年4月刊
新潮社◆定価1,200円(本体価格)
2006年10月刊
新潮社◆定価1,200円(本体価格)
2005年8月刊
新潮社◆定価1,200円(本体価格)
2004年7月刊
哲学者・宗教学者にして俳人の大峯顯氏との対談。
宗教、言葉、死、救いなど、現代の知と信を巡る諸問題を、宗教と哲学の二つの立場から、鋭く問い詰め、語り合う。
人生の核心に存在する「信じる」とは何なのか──。
本願寺出版社◆定価1,400円(本体価格)
2007年3月刊
何のために生きてゆかなければならないのだろうか。
君は、幸福な人生を生きなくちゃならない。
迷っている心に、自ら考える力を──。
毎日中学生新聞の連載から生まれた、さいごの書下ろし作品。
中学生へ向けて平易な言葉で語った人生の教科書。
「受験の役には立ちませんが、人生の役には必ず立ちます」
毎日新聞出版◆定価1,143円(本体価格)
2006年12月刊
すべての人にとって絶対当たり前なことをこそ私は知りたい。
ときに厳しく、また優しく、多くの人に肉声で語りかけた、心ゆさぶり胸を打つ六つの講義。
著者の率直な語り口が、ありありと伝わる。
トランスビュー◆定価1,200円(本体価格)
2006年6月刊
小林秀雄と池田晶子、思惟する魂の宿命的な出会いが生んだ「正しく考える」ためのヒント。
内省する人々の言葉は、われわれの中で石のように動かない。
著者だから為し得た、考える姿の「本歌取り」。
講談社◆定価1,600円(本体価格)
2004年2月刊
善悪・自由・愛・生と死……
人生、一度は考えるべき三十の問いに真正面から答える現代の古典。
トランスビュー◆定価1,200円(本体価格)
2003年3月刊
幸福、癒し、老いの意味から、哲学と笑いのツボまで、切れ味鋭い文章と疾駆する思考が、世のすべての常識を鮮やかに徹底的に覆す。
著者が確立した、極上の哲学エッセイの世界。
トランスビュー◆定価1,800円(本体価格)
2003年3月刊
「わが闘争、文句あるか」
言語を理性で自覚するのは人間だけだ。
なぜ、善は存在するのか──形而上と形而下のはざまで。
すべての現代人に贈る、思索の入り口。
KADOKAWA(角川書店)◆定価1,400円(本体価格)
2002年6月刊
哲学は誰にもできます!
ギリシャ、トルコ、ドイツ、オーストリア、スイス……、風光明媚な「哲学の聖地巡り」を実際に楽しみながら、その神髄をやさしく学ぼう。
著者が現地を訪ね編集した、コンプリート・ガイドブック。
新潮社◆定価2,200円(本体価格)
2001年3月刊
生きるべきか死ぬべきか?
それは一通の手紙から始まった。
殺人罪で死刑判決を受けた共著者が、「善く生きる」ための対話を著者に挑みかける。
息詰まる言葉[ロゴス]の劇[ドラマ]が始まった。
新潮社◆定価1,500円(本体価格)
1999年2月刊
「考える言葉」が世界をひらく。
語り得ぬものごとを語ろうと絶句している言葉のみが、考える魂たちに永遠に考え継がれてゆく。
世に溢れる全勘違いを粉砕するメタフィジカル・エッセイ。
「皆さん、人間の考えを信じすぎてやしませんか」
講談社◆定価1,600円(本体価格)
1997年1月刊
二つの「よく似た意識」の遭遇が生んだ画期的対話。
著者と『死霊』の作者が、哲学と文学の可能性を語り合う。
処女論考「埴谷論」の決定稿ほかを収載。
講談社◆定価1,800円(本体価格)
1995年7月刊
学術用語によらない日本語で、永遠に発生状態にある「哲学」の姿を損なわずに語る大胆な試み。
ベストセラーの文庫版。
中公文庫◆定価800円(本体価格)
1998年6月刊
中央公論新社(中央公論社)
1994年9月刊
絶版。
中公文庫にて刊行。
法藏館
1992年4月刊
絶版。
著者の意向で、本書所収の作品各篇を『オン! 埴谷雄高との形而上対話』(講談社)などの各書籍に収載。
結晶のような「考える文章」。
思考の発生と運動を、非人称かつ詩的な言葉で記し、天才の登場を鮮烈に告げた記念碑的作品。
著者の原点。
旧著を復刻・校訂した新装版。
トランスビュー◆本体1,800円(本体価格)
2010年2月刊
法藏館
1991年7月刊
絶版。
トランスビューにて新装復刊。
河出書房新社
1987年8月刊
絶版。
著者の意思で刊行直後に絶版し、決定稿を『オン! 埴谷雄高との形而上対話』(講談社)に収載。