第1回 哲学甲子園

講評

「第1回 哲学甲子園」を振り返って

(表彰式における発表)

 哲学甲子園の選考基準につきましては、「哲学甲子園」という名前のとおり、哲学という観点から「考える」ということを最も大切な選考基準とし、どこまでも自分で考え、自分の言葉で書いたと感じられたものを優先としました。応募総数約200作品の中で、文章として魅力的な作品もありましたが、「うまく書けている話」や「綺麗にまとめられた話」ではなく、また、その人の意見や主張でもなく、自分が考えた筋道をそのまま書こうと努力している作品を選びました。たとえ論理が破綻していたとしても、考えている自分を鼓舞し、その人だけの言葉で考え、書いていると思われたものの中から、特に優れたと感じられた5作品を優秀作品として選ばせていただきました。

 今回、初めての開催となった哲学甲子園ですが、当初予想していたよりも多くの応募があり、本を読まない世代と言われていることを疑うくらいの、若い書き手の意欲が存分に感じられた素晴らしい幕開けとなりました。この場を借りて、応募してくださったすべての皆さまに感謝申し上げます。
 言論に対しての規制が強まっている現代社会において、「考える」ということは、いつの時代も変わらずに自由です。そして「結果に至るまでの過程に大事なものが眠っているのだ」という大日向さんの言葉は、あらためて私たちに考えるという営みの意義を思い起こさせます。学校教育の中で教わったことだけではなく、自分から疑問を持ち、自分から学んだこと、自分で考えたことを大切に、これからも恐れずに応募していただきたいと願います。
 「驚き、そして考える」ということは、池田晶子によれば哲学の始まりであり、その根幹でありました。NPO法人 わたくし、つまりNobodyは、これからも皆さんの新鮮な気づきと、それを考え、書こうとする作品の応募に期待しています。

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