わたくし、つまりNobody賞

2015年 第8回

ヨシタケシンスケ ヨシタケシンスケ ヨシタケシンスケ ©Takafumi Okuda

【略歴】

1973年神奈川県生まれ。筑波大学芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や児童書の挿絵、挿画、イラストエッセイなど多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる「りんごかもしれない」(2013年4月・ブロンズ新社刊)で数々の賞を受賞。絵本第2作となる「ぼくのニセモノをつくるには」(2014年9月・同社刊)も高い評価を得る。「発想絵本」と称されるこれらの絵本作品以外にも、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(講談社刊)、『そのうちプラン』(遊タイム出版刊)、『しかもフタが無い』(PARCO出版刊)などの著書がある。2児の父。 2015年3月、第8回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。 2017年には、『もうぬげない』でボローニャ国際児童図書賞(フィクション部門)を受賞。
(Photo by Takafumi Okuda)

【授賞理由】

氏は、日常のある一点にこだわり、とことん突き詰めていく、というスタイルのイラスト&エッセイを多く書(描)いてきたが、近著『りんごかもしれない』では、ある物が本当にそうであるのかという点を、『ぼくのニセモノをつくるには』では、人間とは何であるのか、という探究を行なっている。絵本を通してこのような試みをするという点に独自性があり、それが新ジャンルとも言える「発想絵本」へと見事に結実した。この「発想絵本」の展開を更に延ばしていくと、果たしてどういうものが見えてくるのか、読者にどういう地平が広がっていくのか、そこに新たな表現形式の誕生が予感される。今後の活躍を期して当賞を贈りたい。

【ブックリスト】

ぼくのニセモノをつくるには
ぼくのニセモノをつくるには

自分のニセモノになってもらおうと、ロボットに自分について教え始めたぼくは……。自分を知るってめんどうだけど、おもしろい! ヨシタケシンスケの発想絵本・第2弾。

ブロンズ新社◆定価1,400円(本体価格)
2014年9月刊

りんごかもしれない
りんごかもしれない

テーブルの上にりんごがおいてあった。でも……もしかしたら、これはりんごじゃないかもしれない。もしかしたら、大きなサクランボのいちぶかもしれないし、心があるのかもしれない。実は、宇宙から落ちてきた小さな星なのかもしれない……「かんがえる」ことを果てしなく楽しめる、発想絵本。

ブロンズ新社◆定価1,400円(本体価格)
2013年4月刊

結局できずじまい
結局できずじまい

おしゃれ、ボウリング、柔軟体操、キレイに食べる、パソコンへの心構え、献血、お祭りをエンジョイ、自発的な行動…。なんでこんな簡単なことができないんだろう?「自分のできないこと」をテーマにしたお話をまとめた、誰もが感じるモヤモヤを描いたイラストエッセイ。

講談社◆定価952円(本体価格)
2013年1月刊

せまいぞドキドキ
せまいぞドキドキ

せまいエレベーター、せまい階段の下、せまい回転ドア、せまい押入れ……。せまいところ大好き! 狭所マニアの生態を描いたイラストエッセイ。「食にまつわる思い出」をテーマにしたお話もあります。

講談社◆定価952円(本体価格)
2013年1月刊

そのうちプラン
そのうちプラン

「ボクのおフトンは、きっとボクのことが好きだと思う」「信号無視をする時は、左右をよく確かめましょう」──クスリと笑えてハッとして、なんだか和む日常のひとコマが満載。

遊タイム出版◆定価1,200円(本体価格)
2011年8月刊

ブラック会社限界対策委員会
ブラック会社限界対策委員会

「これからのサラリーマンっていくつまで働けばいいんでしょうか?」「宝くじが当たるまでです」 ユニークなキャラクターたちが、会社の悩みに無責任に答えます。働く人の限界時のほんわか栄養補給にきく一冊。

パルコ出版
2009年11月刊

しかもフタが無い
しかもフタが無い

日常の風景、気になる出来事、無意識のつぶやき…。高校生も、OLも、おじさんも、誰もが「あるあるある!」と言っちゃうシーンが満載。しみじみ笑えて、なんだかちょっと元気になるイラスト集。

パルコ出版◆定価1,200円(本体価格)
2003年9月刊

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