1984年福島県生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科在学中から、ビルマの民主化、難民問題を研究。同大学大学院に進学した08年、自己免疫疾患系の難病を発症。ほとんど症例がなく、診断がつくまでに1年以上かかる。その後、9ヶ月の壮絶な入院生活を経て、現在は自宅で在宅闘病の傍ら執筆中。 発症から退院までの2年近くの記録を出版社のホームページに掲載する。その連載をまとめた初めての著書『困ってるひと』が11年6月に刊行される。 2012年3月、第5回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。
他国の難民を助けるつもりだった若き著者は、ある日、難病という自らの身体の反乱に遭遇し、他人事でなく本物の難民になっていた。その状況を、自らをフィールドワークの対象としてユーモアを込めて描くことで、われわれが置かれている不条理な現実を多くの読者に気付かせた。「わたし」を語りながら個人的な闘病記の枠を遥かに越え、人間存在についての普遍的な問いに触れてゆく著者の視点は、「わたくし、つまりNobody」の精神にふさわしいものです。言葉の力を信じ、伝え続けようという大野さんの今後の活躍に期待を込めて、当賞を贈ります。
ビルマ難民を研究していた大学院生女子が、ある日とつぜん原因不明の難病を発症。
自らが「難民」となり、麻酔無しで筋肉を切り取る壮絶な検査や、複雑な社会保障制度との格闘をユーモラスな視点で綴った1年9カ月の記録。
ポプラ社◆定価1,400円(本体価格)
2011年6月刊