1976年東京都生まれ。文芸批評家。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。 2007年「宮澤賢治の暴力」で第39回新潮新人賞〈評論部門〉受賞。著書に『神的批評』(新潮社)。 2011年、第4回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。
例えば宮沢賢治への問いを自身への問いとして対峙し、問うことの果てに失語の中から言葉を見出そうとする愚直なまでの考える精神。収まりのよい解釈に止まることなく、半ば暴力的に問い続け、創作の域へも踏み込んでいく北大路魯山人論。初の単著となる『神的批評』でも示された、社会や現実の事象の先に批評そのものを生きてゆこうとする氏の姿勢とその表現は、本賞の趣旨にふさわしいものです。時代の壁を突破し、精神の新たな闘争領域を切り拓く言葉の担い手として、これからの氏の大胆な挑戦と活躍に期待し、当賞を贈ります。
大澤信亮氏は、副賞の100万円全額を、東北義援金として日本赤十字社に寄付されました。
詳細は大澤氏のブログ(こちら)にてご覧ください。
絶対平和の詩人に孕まれていた暴力性はいかにして非暴力の地平へと至ったのか、その自己破壊的倫理に迫る新潮新人賞受賞作「宮澤賢治の暴力」。美の怪物と対峙することで、「食」という人間の存在条件を問う「批評と殺生――北大路魯山人」。全四篇を収録する、私たち自身の可能性としての思考。
新潮社◆定価2,000円(本体価格)
2010年10月刊